TeXで、ドラえもんを作る!?
前回(新たな記号を生み出そう! - 僕らの研究室)、TeXでニコちゃんマークを作るということをしました。
これを見て、僕はあることを思いついてしまったのです。
「ドラえもんも作れるんじゃね?」
顔のパーツは単純なので、記号を組み合わせればできそうです。
それを聞くや否や、研究室メンバーのM下くんがホワイトボードにドラえもんを描き始めました。
M下「なんかちげえな」
一同「全然ちげえよ」
これでは苦労して絵描き歌を作った人もガッカリです。
これは僕が描いたものです。
少し違和感を覚えるかもしれませんが、これはTeXで作成することを念頭においたドラえもんです。
例えば、目は0と・を使えば再現できますし、鼻は角度を表す際に使う ° を使えばいけそうです。
輪郭は、絵描き歌通りにしてしまうと難しいので、小さなカッコと大きなカッコで再現しようと考えました。
ヒゲは、合同式で使う ≡ です。
さあ、あとは頑張れ!保護者くん!!
というわけで、あとはTeXマスターの保護者くんに丸投げです。僕も頑張れば作れるかもしれませんが、そんな暇ではありません。
丸投げしたその日の午後9時半過ぎ。研究室のグループラインに、保護者くんから画像が送られてきました。
保護者「試作その1です」
バケモンだ。
目を ∞ で手抜きしているのがよくないですね。やはり、片目ずつ作るべきです。
あと、口に ∈ を使っているのも無理がありますね。
改善の余地ありありです。
その後も、いくつも送られてきます。
中国製?
子どもが泣きます。
こいつは薬やってますね。
なかなか、可愛いものにはなりませんね。
ここで、僕がアドバイス。
そしてついに、ある程度完成品と言っていいドラえもんが出来ました。
それがこちらです。
おおっ!かなりドラえもん!!
それなりに可愛いです。保護者くん、よく頑張りました。
僕のくだらない思いつきに付き合ってくれてありがとう。
ちなみに使うことはありません。
コードはこんな感じでした。
これだけ打ち込んで、出てくるのはドラえもん1匹です。ふざけてます。
ということで、TeXで(保護者くんが)ドラえもん作ってみた、いかがだったでしょうか。
僕の研究室では、日頃からこんなことばかりしています。幸せです。また何かしらあると思うので、別の記事で会いましょう。
では。
新たな記号を生み出そう!
研究室で、写像に使う記号について話していました。
このブログの読者は、大学以降に数学を学んでいない人も想定していますので、まずは簡単に写像の説明をしておきますね。
???「なんすか写像って」
???「ダメだこれ笑」
写像とは、簡単に言うと集合から集合への対応規則のことです。
関数という言葉は聞いたことがある人がほとんどなのではないでしょうか。関数は写像の一部です。
このような表記には見覚えがあるでしょう。
この関数のxに1を代入すると、6になります。2を入れると、11を返します。
このように、始集合(定義域)の元を1つ選ぶと、それに対して終集合の元を1つ返すようなものを「写像」というのです。
上の画像は、その規則に f という名前を付けているという状態です。
大学生は、写像を次のように書きます。
Aが始集合でBが終集合です。
特に数の集合に値をとる場合に、その写像を「関数」と呼ぶのです。
とまあ、一応説明しましたが忘れてもらって結構です。
さて、話を戻します。上では f という記号を使いました。高校でそうだったように、大学以降の数学でも写像の名前として f や g はよく使われます。
そして、それと同じくらい φ(ファイ)や ψ(プサイ)も使います(専門によるかもしれませんが)。
ここで問題が発生するのです。
記号が少ない。
写像に名前をつけるとき、f , g の次には h が待っています。それでも足りなければ w を使うでしょうか。
φ と ψ を使ってしまったら、この次に必要になったときに困るのです。
π は自然な全射で使いたい特別な記号(個人的な意見です)ですし、
ρ や τ は少し毛色が違います(個人的な意見です)。
α や β も、やはりなんか違います(個人)。
どうしましょう?
と、些細な悩みを抱いたまま、特によい案が思いつくこともなく、長い間数学をやってきました。
そんなある日、研究室メンバーのT嶋くんがあることを思いついたのです。
T嶋「ニコちゃんマークで写像を書くのは?」
😀←こんなマークということですね。
T嶋くんは僕の研究室のムードメーカー的な存在で、突飛なことをよく思いつきます。 しかし、その突飛さが数学で発揮されることはありません。
彼の言い分は、色んな表情で写像を表せるので、記号不足を解消できるのではというものです。
これは手書きの上では問題ありません。
しかし、我々にとって「使える」とは、授業レポートや資料作成、論文を書く際に「使える」という意味です。
つまり、TeXで打ち込むことが出来ないものは「使える」とは言えないのです。
TeX(テフ)とは、簡単に言えば数式を含む文章を綺麗に作るソフトのことです。上の関数や写像の画像は、TeXで作成したものです。数学の論文等は、これを使って作成します。
ここから我々は、TeXを用いて写像をニコちゃんマークで表すことを始めます。
我々と言っても、やるのは僕と保護者くんです。
僕は大学2年生の頃からTeXで教科書のようなものをよく作っていましたし、保護者くんもその手伝いをかなりしてくれていましたから、人一倍TeXには詳しいのです。
特に保護者くんは、T嶋くんに
「TeXの先生にでもなりたいの?」
と言われるくらい詳しいので、まあ正直僕は必要ないかもしれません。
案としては、:) という海外でよく見られる記号を90°時計回りに回転するという物が出ました。
TeXの自由度は恐ろしいほどに高く、やりたいと思ったことは大抵できます。流石の僕も文章中の文字を回転するコマンドは覚えていませんが、調べればあるだろうとは思っていました。そして、実際にありました。
:(コロン)を使うと目が小さいということや、写像が下すぎるということなど、いくつか問題はありましたが、それほど苦労することなくニコちゃんマークができました。こんな感じです。
想像とだいぶ違ったらごめんなさい。たったこれだけでも、打ち込むコマンドは次の通りです。
TeXを知らない人も、面倒くさそうだということは伝わるでしょう。
こんなに打ち込んで、出てくるのがニコちゃん1つです。
さて、これを元に他の顔も作りましょうか。
僕は「オコちゃんマーク」と呼ぶのですが、生みの親であるT嶋くんは「しかめっつら」と呼ぶのでそちらでいきます。
f(x)は「エフエックス」と読みますが、上の記号を使ったときは「しかめっつらエックス」と読むことになります。なげえ。
これを使って写像の書き方をしてみるとこんな感じ。
見づらい。
関数がいくつか出てくる高校数学の問題文を、関数を上の記号に変えて書いてみると、こんな感じ。
これは酷い。
というわけで、今後使うことは多分ありませんが、作るのも使ってみるのも少しだけ楽しかったのでよしとしておきます。
実はこの話には少しだけ続きがあって、次回にそれを書こうと思います。
ではまた。
中線定理、覚えにくい
僕の研究室のメンバーは、6人中4人が教員志望です。僕もその1人です。
教員採用試験まで残り1ヶ月、ぼちぼち試験に向けて勉強を始めています。
試験では、中高の数学を短い時間で解くことが要求されます。
よって、(いちいち導出していたら間に合わないので)ある程度定理や公式を暗記して臨もうかと考えているのですが、僕が高校生の頃から苦手としている定理があります。
それが、中線定理です。主張は次のようなものです。
手書きですみません。
多くの人がこれを見て、覚えにくいと感じるのではないでしょうか。
あんま対称的な見た目してないんですよねこの定理。
なんでBMだけなん?みたいな。
長さが等しいのでそりゃそうなんですけど。
証明は簡単で、cosθ=-cos(π-θ)として余弦定理を2つの三角形に適用するもよし、中学生でもわかるようにAから垂線を下ろすもよしです(後者は結局余弦定理を示すようなものです)。
しかしまあ、実際にやるとなると、1分くらいかかるわけです。
毎回導くのは面倒なので、覚えたい。
うーんと悩んでいると、研究室メンバーの保護者くんが、
「そんなの、三平方の定理じゃん」
と言いました。
おおっ!確かに!
中線定理は、当然二等辺三角形についても成り立ちますから、その特別な場合でだけ考えれば覚えられます。
これなら、忘れても頭の中で数秒で作れますから、安心です。
こうやってコンパクトにして暗記すれば、頭の容量を使わなくていいですね。
あ、今のコンパクトというのは任意の開被覆から有限部分被覆がとれるという意味ではありませんよ。
では、また。
ブログを作ってみました
僕の研究室では、日々様々なことが起こります。
それらをある程度残しておきたくて、ブログを作りました。
画像は、研究室のメンバーのT嶋くんの車に置いてある、タコのぬいぐるみです。
名前がないそうなので、『キューちゃん』と名付けました。
なんとなく、キューって顔してるので。
記事の内容は、数学に関することが多くなると思います。
たまに覗いてみると、更新されているかもしれません。飽きたらやめます。